地元客の口コミで観光客も訪れる老舗の沖縄食堂

県道153号線と浦添城跡へと続く細い道が交差する角にある「食堂 城」。国指定文化財に選ばれている琉球王国時代の宿道、「中頭方西海道（左手）」と「普天満参詣道（右手）」とが交わる奇跡の立地にあり、浦添城跡へも徒歩範囲というのが「城（じょう）」という店名の由来です（詳しくはこちら ）。

店内に入るとテーブル席と座敷がある、いわゆる沖縄の昔ながらの食堂といった風情ですが、実はこちら、地元うらそえっ子で知らない人はいないのではないかというほどの有名店。オープンから35年経つ今でも変わらず人気があり、お昼時には多くの城ファンでにぎわっています。浦添市民の私も「城のぜんざい安くておいしいよ〜」だとか、「城のソーキそば食べてごらん！」など、長年にわたってあちらこちらで耳にするウワサは多々。この日の取材を楽しみにしていました！

セルフサービスのお茶や水、壁にかかるメニュー札まで“いかにも沖縄食堂”な愛すべき味わいが。どれどれ？とメニューを見ると、とうふチャンプルーにみそ汁に、沖縄そば麺を使った焼きそばなど、定番の食堂メニューがならんでいます。ウワサで聞いていたソーキそばとぜんざいはマストとして、他に人気のメニューは？と店主の長浜さんに聞いてみると。。。「全部平均的に出るよー。おじさんの所は全部おいしいからねー。おじさんはあっちこっち食べ歩いているんだけどねー。うちはおいしいと思うよ〜。やっぱりあれさー、」……としばらく話を聞くことに(笑)。一見無愛想な印象の長浜おじさんでしたが（失礼ですね）、話してみると親近感があってやさしい印象。このギャップもまた、“いかにも沖縄食堂”な愛すべき味わいのひとつだったりします！

注文して10分ほどで出てきたのが「ソーキそば(800円）」。大きな本ソーキが4つものっているうえに麺の量も多い！値段でだいたいの量は検討がつくものですが、通常の1人前の量をはるかに超えるボリューム。これは完全に想定外です。スープはかつおベースのあっさり目なので、たっぷりの麺と平らげてもちょうどいいあんばい。沖縄そばのトッピングに多い三枚肉（豚バラ肉）や軟骨ソーきなどは脂身を気にして残す人もいるということで、赤身の本ソーキを使っているそうです。

人気メニューのひとつとして登場したのは「牛肉野菜炒め(800円)」。ごはん、味噌汁、おかずに漬物が付いたシンプルな定食。しかしこれもまた、ごはん山盛りなうえに、牛肉野菜炒めも「よくこの皿に収まったもんだ」と思うほどの大盛り。 牛肉・島豆腐・たまねぎ・もやし・にらが入った焼肉風の味付けで、白飯が進むガッツリ系メニュー。さすがに食べきれずにいると長浜おじさんが、「持って帰ってチンして食べたらいいさー」と持ち帰り用の容器を持ってきてくれました。基本的に全メニューお持ち帰りも可能。立ち寄る時間に合わせて、電話注文する人も多いそうです。

そして、そして。この瞬間をお待ちしておりました！締めは私が学生時代に最初にウワサを耳にしてから、ウン十年。念願かなって口にできる城の「ぜんざい(300円）」。かき氷がトッピングされた沖縄風の冷たいぜんざいは、あずきよりも粒が大きめの金時豆を使った自家製。口どけのいいフワっフワの氷がたっぷり。このクオリティのぜんざいが浦添で食べられるなんて…しかも安いし。こりゃ、学生さんも通うわけだ。

こちらが店主の長浜さん。オープン当初は店の隣にあるジーンズショップを経営していて、食堂は奥さまに任せるつもりだったんだどか。ところが、食堂の方が忙しくなり本職に。現在は息子さんも加わって親子3人で店を切り盛りしています。

ちなみに、プロ野球のキャンプシーズンにヤクルトスワローズの選手が訪れたこともあるとか!? 「誰かが連れてくるんだよねー。観光客も添乗員が連れてくるわけよ。正月には名前を知らない人から年賀状も来るよ。『おいしかったです、また行きます』って書いてあって、あ、お客さんだなって気づいたさ(笑)」。地元の人の「沖縄に行くなら城に行ってみて」という、口コミで訪れる人もいるようです。一度行ってみるとなるほど。味、ボリューム、値段ともに満足できる気軽なお立ち寄りスポットとして、旅の道中にもオススメな食堂。ぜひ、浦添城趾散策のついでに訪れてみてはいかがですか。

 

DATA

店名	食堂 城（しょくどう じょう）
電話番号	098-876-0382
住所	沖縄県浦添市仲間2-12-1
営業時間	11：30〜19：30
定休日	月曜、旧盆、正月
駐車場	２台
平均予算	650円
支払い	現金のみ
その他	昼時に店内で弁当販売もあります