まとめ記事

浦添市役所を歴史から読み解こう!

公開日 2017年02月08日 09時52分

みなさん、こんにちは。琉球大学工学部チームです。

 

今回は浦添市のみなさんがご存知の浦添市役所へ取材に行って参りました!

浦添市庁舎

行政棟は上、議会棟は下の写真になります。

浦添市庁舎 議会棟

 

 

早速、建物を紹介して参りましょう!

浦添市役所は、行政棟が平成9年、議会棟は平成10年に建設されました。

設計者は、東京の佐藤総合計画と、浦添市庁舎設計共同企業体です。

現在、建設に関わった方の多くは退職された方もいるので、今回の取材は、浦添市役所の企画部国際交流課の方々に、ご協力頂きました。

私たちの質問に、丁寧に熱く答えて頂きました!

 

 

Q. 立地に関して、細い道沿いに浦添市役所が建てられたのは、なぜなのでしょうか。

A. 国道330号は旧軍道の一部であり、330号沿いに建物を建設すること、市役所ほどの大規模な土地の確保が難しかったため、現在の安波茶に腰を据えています。

 

調べてみると国道330号は、復帰前は旧軍道24号線の一部(沖縄市照屋-呉屋)・旧軍道5号線の一部(呉屋-古波蔵)と軍道として役割を担っていたとあります。裏道である通りが、当時の住民のメイン道路となっていたようです。

資料によると、戦前の役所は、浦添中学校の南西側の校舎付近にありましたが、沖縄戦で焼けてしまったと書かれています。

 

村役所

▲ 昭和10年の村役所 (『写真にみる浦添のあゆみ-明治から昭和62年-』p108 より)

 

戦後の昭和21年4月に、当時の浦添小学校の残存校舎の一部に臨時庁舎を開設し、同年12月に現在の安波茶交差点付近に庁舎が新築されました。

昭和25年には旧役所敷地(仲間)に新庁舎を建設して移転、付属施設を増設していきましたが、その後の村の人口増加に伴い、市役所の敷地は現在地の安波茶に決定されました。

その後の平成9年には行政棟が、平成10年度には議会棟が建設されました。

 

国際交流課担当者様の話によると、昭和40年では、市庁舎の目の前にある道路は、当時のメインストリートであり、現在の浦添市役所の行政棟は、元々駐車場だったそうです。

限られた敷地の中で、今では見られない浦添市役所の変遷を伺うことができて、取材時はビックリしてしまいました。

 

気になったので、国土地理院から衛星写真を拝借し、「写真にみる浦添のあゆみ」の本を参考にしてみると、その変化が分かります。

まずは1974(昭和49年)~1978年(昭和53年)に撮られた浦添市役所の写真に遡ってみましょう。

1974~78 衛星写真

↓ この風景が……時が経つにつれ…

1974~78と2007の衛星写真を、かぶせた写真

↓ 2007年には、この様に変化していきます。

2007 衛星写真

(上方3枚の写真 参考資料:国土地理院地図)

 

2007年の議会棟がある場所に、1974~78年の写真では総合庁舎が建てられています。

時が経つにつれ、行政棟が建てられ、道路が整備されていることが分かります。

 

下は、市庁舎が増築され、市会議議事堂が建てられた(昭和51年)時の写真です。現在の市役所の姿の面影がありますね…!

増築された市庁舎

(参考資料:写真にみる浦添のあゆみ-明治から昭和62年-/ p109

 

色んな資料を参考にすると、市役所の変遷が明らかになっていくので、調べていて面白かったです。

『写真にみる浦添のあゆみ-明治から昭和62年- / 浦添市史編集委員会』によると、その一部に役所の歴史が記載されています。

浦添市の戦争・行政・文化財等々の情報が写真と共に詰まっておりますので、気になる方は是非読んでみてくださいね!^^

 

 

 

Q. 11月11日の公共建築の日に公共建築の可能性について講演を那覇市で聞きました。

   浦添市役所では地域の繋がり、交流などを意識した空間つくりはありますか。

A. 地域の繋がり・交流などの空間は、小学校の市民交流室を利用しています。

  市民広場の利用は自由ですので、フリーマーケット等での利用を希望される場合は、担当窓口へ申し込んでください。

 

市民広場は下の写真になります。

取材日は生憎の雨で、人があまりいませんでしたが。

市民広場

 

 

Q. エントランスから2階にあがる階段の幅が少し狭く設計されているのはなぜですか。

A. 必要なスペースを確保するため、階段は狭くする必要がありました。

 

1Fの空間は、住民の方々も利用するため、空間を広めに確保したようです。

エスカレーターの案もありましたが、敷地は限られており、案は取り下げられたようです。

 

 

 

Q. 普段職員の方は普段どこで食事をされていますか。

A. 行政棟9Fのホワイエや、同棟各フロアに設置されたテーブル椅子、休憩室を利用しています。

 

さて、みなさんは行政棟の9Fを訪れたことはありますか?

実は、そこには展望台があり、そこから絶景が広がっています!

東西南北あらゆる方向から、街を一望することが出来ます。

周囲には市役所ほど高い建物もないため、視界を遮るものはありません。

浦添市

早速展望台の北側を向いて、撮ってきました。

雨上がり後で、曇った天気が広がっていますが、晴れの日は一層素敵な景色が見えると思います。

水色の屋根…前回取材させて頂いた、てだこホールが見えますね!

手を振ったら、もしかしたら見える距離なのかなと思ったりもします(笑)

 

\良い写真が取れそうだ!/

写真を撮る取材者

 

ところで、その行政棟9Fホワイエには、レストランを設置するという案があったそうです。

しかし、市役所は17時で閉まってしまうために、各フロアへの人の立ち入りが対策が求められますが、建設当時はその出入りを制限できる仕組みがなかったため、案は棄却されてしまったようです。

現在では様々なセンサーがあり、人の入退出の管理は可能ですが、そこには費用がかかってしまうとのことでした。

う~ん…惜しい…!

 

夜の風景…実はとっても綺麗なんです。

いつかレストランができたら、夜景を見ながら食事………というのも良さそうですね!(・∀・*)

浦添市役所 展望台からの景色

▲展望台 西側の風景

浦添市役所 展望台からの景色

▲展望台 北側の風景

 

市役所へ立ち寄った際には、その絶景を味わってみてはいかがでしょうか?

街の向こう側には、海も見えますよ~!

 

また、9階には、浦添市役所の模型も置いてあります!必見です…!

市役所模型

 

 

Q. 以前浦添市役所を訪れたとき、テラスに日光を取り入れるためにガラス張りにされている部分を見つけました。

  この部分は通風のためにも利用されているのでしょうか。

A. 意匠として考えられていると思われます。

  建築基準法、消防法に基づき、排煙のために、開口は可能になっています。

 

 

Q. 1階の広場にあるスロープと一体になった階段のデザインは、 てだこホールにあるものと >>> 同じデザインになっていると感じましたが、設計のコンセプトも同じなのでしょうか?

A. てだこホールは浦添市役所の8年後に建設されたこと、設計会社が別ということから、直接的な関連はないと思われます。

>> 

国際交流課担当者様から伺った話によりますと、当時の、てだこホールの担当者の話では、市庁舎の場合は中庭、てだこホールの場合は大ホールと小ホールの間が「舞台」の役目をするので、階段を客席に見立ててデザインされたそうです。

スロープ利用者の心理として、垂直方向の長いスロープは利用したいという気持ちが減ることから、多少は距離が長くなっても、ゆっくりと登れた方が良いということで、現在の階段とスロープが一体になったものが出来た、とのことです。

またそのために、立て材に石灰岩が使われています。

狭いエリアをどう活かすか、という観点が大きく関わっていたようです。

ちなみに、市庁舎の方が、てだこホールより先に建設されています。

 

 

 

さて、Q&Aは以上になります。

ここからは、写真と共に、市役所を少し冒険してみましょう!

 

まずはこちら!

これは市役所1階から5階の吹き抜けの壁に設置されているオブジェです。

かなり大きいため、訪れる全ての人の目を惹いていきます。

「無限に進展する平和郷」浦添市が象徴されているそうです。

「無限に進展する平和郷」浦添市

浦添市役所には、沢山のオブジェ、芸術に溢れています。

実はこのオブジェの写真を加工して、記事のトップ画として使用しました…(*'▽')

 

こちらは面白い形をした、住所表示案内板です。

オブジェ

 

後ろを振り向くと、なにやら潜水艦を彷彿させる作品が…!

ブロックで表現された波に、思わずおおっと感嘆をあげてしまいました。

オブジェ

実はこの作品、「中間航路」というタイトルで、能登孝二郎さんという方が制作されたそうです。

浦添ロータリークラブの記念事業足跡ページにも、掲載されております。ページはこちらになります!

オブジェ

 

市庁舎1階正面入り口の壁には、綺麗なアートが施されています。

オブジェ

ところで、左側の定礎と刻まれた壁面の上に、「平和のメッセージタイムカプセル」と刻まれていますね…!

収められたのは行政棟建設時の平成7年となっていました。

一体何のメッセージが建設当時に込められてたのか……気になるところです。

 

また、1階から2階へと続く中央階段は、下の写真のようにどどんと大きなものとなっています。

初めて市役所に来た時はビックリしてしまいました。なんだか お城の階段みたいですね。

階段

 

いくつか挙げていきましたが、浦添市役所は美術館のような作品がいくつかありました。

実は9階の展望台より上にも、作品があったりします。

気になる方は是非、浦添市役所の屋上も見上げてみてくださいね!

 

いかがでしたでしょうか?

浦添の歴史は、かなり奥が深いです。

是非、みなさんも市役所で、ネットで、図書館で、浦添市で、浦添市役所の歴史と魅力を感じてみてくださいね(*^▽^*)

国際交流課の皆様、此度は取材にご協力頂き、ありがとうございました!

それでは、みなさん、次回の記事でお会いしましょう!

 

参考文献・サイト

『写真にみる浦添のあゆみ-明治から昭和62年-』  p108-109 浦添市史編集委員会

「沖縄の道」 http://road.s25.xrea.com/index.html (2016.12.20アクセス)

 

 

施設名 浦添市庁舎
電話番号 098-876-1234(代表)
住所

〒901-2501

沖縄県浦添市安波茶1丁目1番地1号

業務時間

午前8時30分~正午

午後1時~午後5時15分

(一部、正午~午後1時の窓口対応有り)

窓口対応時間について→http://www.city.urasoe.lg.jp/docs/2015042200033/

休庁日 土曜日、日曜日、祝日、慰霊の日(6月23日)、年末年始(12月29日~1月3日)
駐車場

地下駐車場(86台)、市庁舎裏平面駐車場(55台)

市庁舎裏立体駐車場(84台)、水道部側平面駐車場(98台)

webサイト http://www.city.urasoe.lg.jp/
Twitter https://twitter.com/urasoecity

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