沖縄のアイスクリームブランドとして有名な「Blue Seal」。1948年に、在沖米軍人へ乳製品を供給するために、米国のフォーモスト社が基地内に工場を設立したがその始まりである。牧港本店の入口に掲げられたセピアの写真は、その時代の店内の様子で、当時は、牛乳やバター・チーズなどが主力商品だったという。1963年に、現在の浦添市牧港へと拠点を移し、沖縄県民向けの販売もスタート。商品のひとつであったアイスクリームが広く愛されていく歴史の始まりとなったのである。創業60周年を迎え、店舗を改装することになった2009年、関係者は思い立った。「そうだ！ 店内にあの古き良きアメリカの写真を再現しようじゃないか！」と。

ということで、現在の牧港本店の一角。木のカウンターやイスはもちろんなのだが、その座席のひとつに、牧港本店入口に掲げられた写真の中で唯一カメラを向いて微笑んでいる将校さんの姿まで再現してしまった。何とも、お茶目な発想を現実のものにしてしまうあっぱれな企業努力である。（実際の写真よりも若干アゴが割れすぎている感がなきにしもあらずだが、）そのやさしげな微笑みで、今日も、店に足を運ぶ人びとを温かく見守っている彼なのである。

「写っている方の名前を知る人がいないほどの古い写真なので、私は彼のことをジョニーと呼んでいます」と、おいしそうなアイスクリームのアピールも忘れないスタッフさん。お客さんもそれぞれ好きな名前で呼んでいるそうで、「ジミー」という名もあるそうだ。ちなみに、本記事担当には、「ダグラス」に見えて仕方がないが、みなさまはいかがだろうか。