浦添のルーツを刻む旗頭を守り伝える

公開日 2014/07/18

誰もが気軽に参加できるオープンな伝統芸能を目指して

※編集部注(2015年12月):本記事は2014年7月公開時の内容となっており、現在の伊祖旗頭保存会会長は4代目 大村康さんです。

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2001年の結成以来、地域の伝統の継承と繁栄を願い、活発な活動を続ける伊祖旗頭保存会。現在は3代目会長の成海雅治さん(写真中央)が、30名近いメンバーを束ねる。「伊祖区は、琉球史に残る13世紀の名君、英祖王(えいそおう)が誕生した由緒ある地域。浦添のキャッチフレーズである“てだこ”という言葉は、かつて英祖王が沖縄の方言で“太陽(てだ)の子”とたたえられたことが由来とされています。旗頭の活動を通じて、そんな浦添の歴史と英祖王の名前を、より多くの人々に伝えていけたら」と抱負を語る。

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旗頭とは、各村や町ごとに行なわれていた綱引き行事の際に、応援の旗印として掲げられた幟(のぼり)のこと。

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約6メートルもの長さのある竹製の竿の頂上には、地域の伝統や特色を表現した灯籠(トゥールー)が立ち、同じくさまざまな旗字を記した大旗がたなびく。これを旗持ちの青年らが持ち上げ、華麗に勇ましく躍動しながら、五穀豊穣を祈願した。

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成海さんはもともと、浦添市内に住みながら、旗頭団体として豊富な実績のある久茂地盛鶴保存会で活動していた。毎年10月に行なわれる「那覇大綱挽」で、旗頭行列への参加が認められた14の旗頭の一つだ。そこで伊祖旗頭のメンバーと出会い、交流を重ねるうちに、「地元浦添の旗頭を盛り上げていきたい」と考えるようになり、移籍を決意。2007年に正式に伊祖旗頭保存会に加入した。

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伊祖の旗頭はずっしりと、重い。メインの一番旗は約60キロ。美しく旗を舞わせるためには、かなりの技量と熟練を要する。小中学生用の二番旗で23キロ、やや小ぶりの三番旗でも、他の一般的な旗頭と同程度の、43キロの重さがある。

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灯籠のデザインは、伊祖出身の名君・英祖王にちなんで、太陽(てだ)をモチーフにしている。旗字の文句は「光芒万丈(こうぼうばんじょう)」。会設立に尽力した豊里友一さんによると、「英祖王の母親は、太陽の光が子宮に差し込む夢を見て、英祖王を身ごもったという伝説があります。そんな聖人君子の出現の様子と、彼の功績をたたえる意味内容になっています」とのことだ。

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伊祖旗頭保存会の練習は毎週月曜日と木曜日、伊祖公民館前広場で行なわれる。参加行事はてだこまつりを筆頭に、年間を通してめじろ押しの状態だ。成海さんは、2代目会長として8年間活躍した宮城昇さんの後を継ぎ、2012年に会長に就任。「伝統を守りつつ、オープンな性格が伊祖旗頭の持ち味。今後はてだこまつりなどの行事の中で、希望者がいれば誰でも実際に旗を持てるような取り組みにも、力を入れていきたいですね」と展望をかかげている。

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お名前
成海雅治さん
お仕事
伊祖旗頭保存会前会長
出没スポット
伊祖公民館
(いそこうみんかん)
出身地
沖縄県宜野湾市
情報
趣味はモトクロスというアウトドア派。
根っからのお祭り好きです!
フィード情報

 

地図

伊祖公民館(伊祖旗頭保存会)

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