後進の指導を始めて20年。400年続く獅子舞を伝承する

公開日 2014/09/23

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名前
具志堅全孝さん
お仕事
勢理客獅子舞保存会 会長
出没スポット
毎年の十五夜祭前は勢理客公民館に毎晩います
出身地
沖縄県浦添市勢理客
情報
獅子舞マメ知識。獅子の頭はデイゴの木、胴体は芭蕉の糸、尻尾は馬の尻尾でできています

芸術的な獅子舞を旧暦8月15日の「十五夜祭」で披露

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勢理客と書いて「じっちゃく」と読む。全国難解地名クイズにも登場しそうな浦添市勢理客区は、古くから獅子信仰が厚いことで知られる。国選択無形文化財指定の獅子舞は約400年もの歴史があるといわれ、勢理客獅子舞保存会のメンバーが伝統芸の伝承と保存に励む。そして彼らを20年近くにわたって指導しているのが、4代目会長の具志堅全孝さんだ。

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獅子舞が演じられるのは、旧暦8月15日に勢理客公民館前広場で行なわれる「十五夜祭」。毎年本番の2カ月ほど前になると保存会のメンバーに招集がかかり、稽古が始まる。「獅子舞の演舞は体力勝負。頭と胴体を合わせると30キロ近い重さがあります。練習でも最初の1カ月間はマラソンやストレッチ体操など基礎体力作りが中心で、実際に獅子をかぶるのは残り2週間を切ってからです」。稽古時期がちょうど夏真っ盛りとあって、暑さと疲労で脱落していく者も少なくないという。具志堅さんいわく「年齢的に30歳までが限界かなあ」とのことだ。

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具志堅さんもかつては演者として、舞台を賑わせた。「獅子舞の保存活動をしていた父親に連れられて、気付けば弟と2人で参加させられていました(笑)。私は当時、陸上競技の社会人選手でもあったので、獅子舞の季節は仕事帰りに陸上の練習をしてから、獅子舞に参加していました。振り返れば相当にハードでしたね」と懐かしむ。十五夜祭以外の時期でも、公演依頼の声がかかれば県内外各地へ遠征し、伊勢神宮まで奉納に出かけたりもした。

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勢理客の獅子舞の特徴は、その芸術性の高さにある。もともと舞台芸能として演じられていたために、芸種が豊富で細やかで、躍動感あふれるダイナミックな足さばきや面使いが随所に見られる。「全部で11の演目があり、“ジャンメー”と呼ばれる儀式的な3芸と、遊び的な“モーヤー”8芸に区分されます。舞台の四方を厳かにお祓いしたり、獅子がマリと戯れて遊んだり、芸の趣が一つ一つ異なるのが見ていてよく分かりますよ」。戦後間もない時期までは、十五夜祭の日はすべての演目が延々と翌朝まで演じられていたという。

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保存会のメンバーは現在約40名。上は27歳から下は小学校5年生までと年齢は幅広い。「ここ数年で小学生が7名に増えました。このまま順調に育ってくれれば」と目を細める。後継者不足で歴史が途絶えた地域も出てきた昨今、子どもたちの入会は願ってもない朗報だ。具志堅さんは「先輩方が築いてくれた伝統を絶やさないようにすることが、私の務めですね」と穏やかにほほ笑んだ。

地図

勢理客獅子舞保存会

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