沖縄の伝統芸能、組踊の将来を担う若手伝承者

公開日 2023/11/01

国立劇場おきなわでは、琉球王国時代に創始された組踊の伝承者を養成するため、平成17年度から組踊研修を実施しています。研修期間は3年間で、これまでに第一期から第六期までの計57人が組踊研修を修了し、沖縄伝統芸能の舞台で活躍しています。
平成23年度からは組踊研修修了生の技芸の向上を図るため既成者研修も実施し、若手伝承者公演(既成者研修発表会)を上演しています。
第13回となる今年の若手伝承者公演(既成者研修発表会)には、組踊研修修了生26人が出演。立方(演者)は第四期修了生から第六期修了生、地方(演奏者)は第三期修了生から第六期修了生までの若く熱い情熱をもった実演家が出演します。

今回、11月の行われる若手伝承者公演に向けて日々稽古に励んでいる修了生の皆さまの元を訪れたので、その様子をお届けします!

舞踊地方

組踊稽古風景1

皆さんとても集中して稽古しており緊張感があります。
そして、今回の公演で主役を担う修了生3名の方に稽古の合間を縫って、少しお話を伺いました。

組踊出演者
左から、比嘉大志さん(役:豊世松の按司)、堀川裕貴さん(役:千代松)、下地心一郎さん(役:母)

組踊や舞踊を始めたきっかけは?

比嘉さん:「姉が舞踊に通っていたため一緒について行っており、3歳から始めました。組踊については、子役を小学生の時に演じ、面白かったことから組踊を続けています。」
堀川さん:「母と姉、兄が舞踊をやっていたため私も習ってみたいと思い5歳から始めました。」

今回お話を聞いた3名の方に共通していたのですが、始めたきっかけはご家族に影響を受け興味を持ち始めたとの事ですので、やはり幼少期から実際に組踊や舞踊にふれていたのですね~。

舞踊かぎやで風1

稽古や活動をしてきて苦労したことは?

堀川さん:「台詞を覚えて唱えるだけではなく、台詞に感情を入れて唱えるのが難しいところです。」
下地さん:「所作では体に余計な力が入ってしまうのでそうならないように気をつけています。」

その時々の感情や表情を台詞、体で表現するのが非常に難しく繊細なんだと気づかされます。
歩幅や動きひとつ取っても少しづれていると伝わり方が違うものなのでしょうね。

組踊稽古風景2

また、現実的なお悩みもあるみたいで、お仕事や学校が終わってから稽古が始まるので、両立させることも大変だそうです。
しかし、皆さんしっかりと取り組んでらっしゃるので凄いなと感服するばかりです…

発表会に向けた意気込みは?

比嘉さん:「豊世松の按司という重要な役柄を演じることになったので、その役にふさわしい表現できるように頑張りたいです。」
下地さん:「女役はあまりやったことがありません。そのため女役をやっている先生方の演技を研究するなどして稽古をしていますのでその成果を観に来て欲しいです。また、今年は3月に研修を修了した第六期組踊研修生も全員出演しますので、新しく入ったメンバーも観ていただきたいです。」
堀川さん:「普段使われていない歌(歌三線)がこの組踊では使われているのでそこも楽しめると思います。また、演技では感情を入れてそれが観客の皆さんに伝えられるように演じていきたいです。」

舞踊かぎやで風2

最後に今回の演目の見どころは?

比嘉さん:「あまり公演される演目ではなく、また、母が子どもを思う気持ちなどが表現されており、親子の愛が切実に描かれていると思います。」
比嘉さん:「マルムンと豊世松の按司との掛け合いが見所の一つです。通常、マルムンは物語の説明や、状況説明、あらすじを解説するなど一人で喋ることが多いのですが、この作品では按司との会話があり、そこも見所の一つだと思います。」

※間の者(マルムン)とは百姓や商人といった庶民的な人物である。

※朝薫の作品に登場するのがほぼ宮廷内の人物である。


今回インタビューを通して初めて稽古をしている姿を見させていただきましたが、皆さん、発表会のために日々稽古に励んでおり、いかにこの発表会に力を注いでいるかが伺えました。

インタビューを受けて頂いた3名の方や修了生が出演している公演は、先日うらそえナビでも紹介しました【国立劇場おきなわ】組踊「賢母三遷の巻」です。

 

賢母三遷の巻


賢母三遷の巻ウラ

 

是非、うらそえナビをご覧の皆さまも今回の記事を読んでみて、興味が湧いたら会場まで足を運んでいただき、修了生の勇姿をご覧になってみてはいかがでしょうか!!

 

 

地図

国立劇場おきなわ

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