「日本遺産 浦添」をめぐる。琉球王国の成立から繁栄までを偲ぶノルタルジック歴史さんぽ

公開日 2020/07/07

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沖縄初の日本遺産:ストーリー「琉球王国時代から連綿と続く沖縄の伝統的な『琉球料理』と『泡盛』、そして『芸能』」とは

沖縄旅行の前に要チェック! 琉球の歴史や伝統文化にふれられる日本遺産関連スポット

日本遺産にまつわるストーリーをたどって浦添の歴史さんぽにでかけましょ!

「日本遺産」って聞き慣れないワードですが、みなさんはご存じでしょうか? 地域の歴史的経緯や風土に根ざした伝承・風習などをストーリーにして、それらにまつわる有形・無形の文化財の魅力を広く発信する文化庁の取り組みで、2015年から始まりました。

そして2019年、沖縄県(浦添市・那覇市)のストーリー「琉球王国時代から連綿と続く沖縄の伝統的な『琉球料理』と『泡盛』、そして『芸能』」 と、ストーリーを構成する文化財29件が日本遺産に認定されました。沖縄県での日本遺産認定はこれが初めてのことです。

かつて琉球王国建国の礎を築いた「中山(ちゅうざん)」の王都があった浦添市には、ストーリーとゆかりの深い文化財が19件あります(うち5件は那覇市と共同)。日本遺産に認定されたストーリーとは。さらにそのストーリーに親しむことができる浦添市内のおすすめスポット、そして、首里城公園(那覇市)の散策とセットで楽しめる旅のプランをご紹介しましょう。

沖縄初の日本遺産:ストーリー「琉球王国時代から連綿と続く沖縄の伝統的な『琉球料理』と『泡盛』、そして『芸能』」とは

01伊祖グスク

提供:浦添市

さあ、まずはいにしえの琉球の歴史をざっと予習してみることにしましょう。11〜12世紀ごろ(鎌倉時代)、農耕社会が確立された後の琉球では外国との交易が活発化し、各地に「按司(あじ)」と呼ばれる実力者が登場するようになりました。

13世紀になると按司たちは各地に「グスク(城)」を築いて、それぞれの周辺地域を支配するようになります。写真は浦添市伊祖にある「伊祖城跡(いそじょうあと)」。のちに初期の琉球の王統のひとつを築いた英祖(えいそ)王生誕の地といわれています。

14世紀頃には、琉球は「北山(ほくざん)」、「中山(ちゅうざん)」、「南山(なんざん)」という3つの小国に分かれ、勢力抗争は勢いを増していきました。このうち最も有力な勢力が現在の浦添市に拠点を置いていた中山で、舜天(しゅんてん)・英祖(えいそ)・察度(さっと)の三王統が栄えました。

写真は13世紀頃(英祖王の時代)に王城として整備された「浦添城跡(うえらそえじょうあと)」。その後の察度王の時代には、高麗系瓦を用いて建てられた正殿を中心に、石積みの城壁で囲まれた大規模な城となりました。また、察度王の時代には牧港(まきみなと=現在の浦添市牧港)を中心に中国との朝貢(ちょうこう)貿易がはじまり、琉球王国繁栄の礎となる本格的な海外交易の扉が開かれたのです。

首里城

提供:国営沖縄記念公園(首里城公園)

15世紀初頭になると、南山の按司のひとりであった「尚巴志(しょうはし)」が察度王統を滅亡させ、父を中山王に据えました。尚巴志はさらに北山を倒し、父の逝去後、2代目中山王となります。そして1429年にはついに、出身地である南山の王を倒し三山統一を果たしました。

こうして第一尚氏王統による琉球王国最初の統一王朝が誕生したのです。尚巴志は王都を浦添グスクから首里城に遷都し、さらに貿易拠点も那覇に移しました。その後琉球王国は日本や中国、東南アジアなどの国々と交易を行い、貿易の中間拠点国家として450年に及ぶ歴史を歩んで行くことになります。

琉球舞踊(四ツ竹)

提供:国営沖縄記念公園(首里城公園)

琉球王国は諸外国との交易を深めるなかで、礼節をもって中国皇帝の使節団「冊封使(さっぽうし)」などを受け入れました。使節団は総勢400人あまりで、半年ほど沖縄に滞在したといわれ、王国側は各地で大宴を開いてもてなしました。国を挙げての重要な行事だったため、料理や芸能に力を注いだ結果、「宮廷料理(琉球料理)」や御用酒の「泡盛」、「琉球舞踊」や「組踊(くみおどり)」といった芸能などが生み出され、独自の琉球文化が花開いたのです。

沖縄旅行の前に要チェック! 琉球の歴史や伝統文化にふれられる日本遺産関連スポット

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琉球王国繁栄までの歴史をダイジェストでお届けしたところで、続いてはうらそえナビがおすすめする日本遺産関連スポットをご紹介しましょう。

中山の壮大な歴史を物語る「浦添城跡」や王陵「浦添ようどれ」は必見。それぞれを訪れる前に「浦添グスク・ようどれ館」に立ち寄れば、さらにディープな琉球の歴史に触れることができます。また、浦添市にある「国立劇場おきなわ」では琉球王国が誇る伝統芸能「組踊(くみおどり)」や「琉球舞踊」を鑑賞できるほか、市内には組踊の創始者「玉城朝薫(たまぐすくちょうくん)の墓」といった史跡も数多く点在。

「浦添市美術館」では琉球王国が威信をかけて制作した「琉球漆器」(県・市指定品44件あり)を専門に常設展示しています。こうした歴史と文化財がストーリーに組み込まれたことで、沖縄県初の日本遺産に認定されたというわけです。各スポットの詳細は以下からチェックしてみてくださいね!

◆浦添市美術館(うらそえしびじゅつかん)

浦添市美術館

日本初の漆芸専門美術館。16世紀から現代までの優れた琉球漆器コレクションを中心に、日本をはじめ周辺諸国の漆芸品も収集し、年に数回展示を入れ替えています。

[関連LINK]

●日本でも珍しい漆芸専門美術館が浦添に!

http://www.urasoenavi.jp/kankou/2015060800017/

●浦添市美術館ミュージアムショップ
http://www.urasoenavi.jp/kankou/2015060800024/

 

◆浦添グスク・ようどれ館

ようどれ館

浦添城跡の北側には「浦添ようどれ」と呼ばれる陵墓があります。浦添城跡・浦添ようどれから徒歩でアクセスできる「浦添グスク・ようどれ館」では、英祖王の王陵内部や石棺を実物大で再現。そのほか館内には浦添城跡の発掘の際の出土品なども展示されています。

[関連LINK]

●「浦添グスク・ようどれ」探検で、浦添の歴史を学ぶ

http://www.urasoenavi.jp/tokushu/2014071700057/

◆浦添城跡(うらそえじょうあと)・浦添ようどれ

浦添城跡・復元城壁

提供:浦添市

13 世紀に築かれた浦添グスクは、石積みの城壁で囲まれた大規模な城でした。「浦添ようどれ」(写真)は琉球初期の「英祖(えいそ)王」一族と、浦添出身の琉球王国第二尚氏王統第7代目国王「尚寧(しょうねい)王」一族の墓。 いずれも国の史跡です。

高台にある浦添城跡からは浦添市内を一望できるほか、首里やかつて貿易港があった「牧港(まきみなと)」もみえます。また、城跡内にある前田高地は映画『ハクソー・リッジ(原題:HACKSAW RIDGE)』(メル・ギブソン監督作品)のクライマックスの舞台として描かれている場所です。

[関連LINK]

●舜天・英祖・察度 「浦添三大王統」ゆかりの地を訪ねる

http://www.urasoenavi.jp/tokushu/2015101800013/

●『ハクソー・リッジ』〜作品の舞台をご案内します〜

https://www.city.urasoe.lg.jp/docs/2017052900033/

◆国立劇場おきなわ

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ユネスコの世界無形文化遺産「組踊」や、国の重要無形文化財「琉球舞踊」など沖縄の伝統芸能を鑑賞できる定期公演を行っています。

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琉球王朝時代の家屋などに用いられた伝統的な竹垣「チニブ」をモチーフにした印象的な外観も異彩を放ち、フォトジェニックです。

[関連LINK]

●沖縄の伝統芸能の殿堂「国立劇場おきなわ」へ行こう! 5分でわかる! 浦添市が誇るユネスコ世界無形文化遺産「組踊(くみおどり)」

http://www.urasoenavi.jp/tokushu/2020032400010/

玉城朝薫(たまぐすくちょうくん)の墓・邉土名家(へんとなけ)の墓

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提供:浦添市

冊封使を歓待するための踊奉行に任じられた玉城朝薫は、音楽・舞踊・セリフを総合的に取り入れた組踊の創始者です。朝薫のお墓はゆいレール経塚駅から歩いて約2分のところにあります。

[関連LINK]

●玉城朝薫

https://www.nt-okinawa.or.jp/okinawan-traditional-performing-arts/cyoukun

日本遺産にまつわるストーリーをたどって浦添の歴史さんぽにでかけましょ!

浦添城址

提供:浦添市

琉球王国の礎を築いた浦添と、王都・首里はじつはとても近い位置にあります。王国の歴史ロマンに浸る、とっておきのプランを紹介します! ぜひ、浦添まで足を延ばしてみてくださいね!

 

那覇・首里から気軽に半日プラン


●首里城公園

 ↓車で約20分

●浦添市美術館

 ↓車で約10分

●浦添グスク・ようどれ館

 ↓車ですぐ(徒歩可)

●浦添城跡・浦添ようどれ

 

[ゆいレールで行く半日プラン]

●浦添前田駅

 ↓徒歩13分

●浦添城跡・浦添ようどれ

 ↓徒歩2分

●浦添グスク・ようどれ館

 

[さらにディープに楽しむプラスワンスポット]

●首里城公園 

 ↓車で約20分

●国立劇場おきなわ

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●首里城公園

 ↓車で約15分

●玉城朝薫の墓

 

地図

※この記事はに作成されました。公開時点から変更になっている場合がありますのでご了承ください。