生クリームのやさしい味わい、ふわっふわのスポンジ、口当たりなめらかなカスタードなど、一度食べるととりこになるナシロのケーキは、素材を生かし丁寧に作り上げた魔法の味。パティシエの道一筋40年、オーナーの名城政樹さんの瞳には、経験に裏打ちされた穏やかな自信がこもる。

1991年創業のケーキハウス ナシロは、地元では老舗の部類に入る指折りの実力店だ。ショーケースには、ホール＆ロールケーキ、カットケーキ＆タルト、焼き菓子がそれぞれ約20種類並ぶ。

「シュークリーム、エクレアなどのベーシックなメニューは、創業以来ほとんど味を変えていません。初めて来てくれるお客様にとって、それが店の味を判断する大きな基準になるからです」。そしてそのシュークリームこそ、売れ切れ必至の人気メニューなのだから恐れ入る。

素材と色使いに季節を感じる、シーズン限定のケーキが多いのも特長だ。「ショーケースを眺めていると、春は桜、夏はミントや白玉、秋冬にかけてマロンやリンゴ…というように、色彩の変化が楽しめますよ」と名城さん。新作も続々登場し、昨年の「うらそえ市スイーツフェスタ2013」でお披露目された長さ36センチの「純生ロール」は、今では店の定番ケーキの一つとしてすっかり定着した。

洋館のようなたたずまいの店内には、約10種類のコーヒー、紅茶とともにショーケース内のケーキが楽しめる、カフェスペースを併設。不定期で開催される、ピアノやチェロのコンサートも要チェックだ。

西原ICから車で約5分、県道241号沿いという便利な立地でありながら、やや奥まった位置に建物があるため、気付かず通り過ぎてしまう人が多いのだとか。それでも名城さんは愛きょうたっぷりに、「じっくりと探して来て下さい。見つけるのに苦労すれば、次からは決して忘れないだろうから」と笑顔を見せる。店探しに迷い、ケーキ選びにはさらに迷う、実にナヤマシイ店だ。